SaaSでカスタマーサクセスが変わる

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HENNGEではお客様との信頼関係を構築するため、さまざまなSaaSを積極的に活用しています。HENNGEが取り組むSaaSを活用したカスタマーサクセスへの取り組みをご紹介します。※2019年11月に開催された「HENNGE NOW!2019」より


カスタマーサクセスディビジョンの3つのロール

皆さんこんにちは。カスタマーサクセスデビジョンの副部長、渋江です。私たちカスタマーサクセスディビジョンでは、お客様がHENNGE Oneを導入されてから運用に至るまでの各フェーズを支援するため、複数のチームが活動しています。

なぜ複数のチームが存在するかといえば、HENNGE OneはSaaSであり、売ったら終わりではなく、そこからお客様との関係がスタートするからです。そしてお客様にご満足いただくためには、手作業のサポートではおのずと限界があります。そこで私たち自身も、SalesforceやMarketo、Zendesk、Slackなどの各種SaaSを連携・活用し、お客様により豊かなカスタマーエクスペリエンスをご提供できるように努力しています。

そこでこのセッションでは、各フェーズを担当する「導入チーム」「サポートチーム」「利用促進チーム」がそれぞれ果たしている役割を、担当者によるリレー形式でご紹介していくことにします。

「導入チーム」の取り組み

導入チームの三吉です。私たちの活動は大きく「要件定義」「設定」「サービス展開」の3つに分かれています。その中で最も力を入れて取り組んでいるのが「要件定義」です。具体的には、お客様がHENNGE Oneの導入に際してどんな課題を解決したいのかを確認し、現状とのギャップを抽出した上で解決案を提示するという流れになります。

お客様の声を分析してみると「営業担当者に伝えてあるのに、導入担当者に要件を一から十まで聞かれた。きちんと伝わっていないのでは」「サポート担当者に問い合わせても、なかなか要領を得た回答がもらえない。当社の設定や導入の背景を知らないのでは?」「営業担当者がフォローで訪れたが、今の状況を理解していないようだ」といった不満が上がっていることがわかりました。要は、HENNGEの担当者間できちんと引き継ぎができておらず、フェーズ間で情報伝達のロスが発生していたわけですね。

ではその原因は何でしょうか? まず、情報の散在です。担当者ごとに情報の保管場所がバラバラだったのですね。次に、情報の精度の低さです。お客様にヒアリングした情報が欠けていたり、きちんと記録されていなかったりしていました。加えて、お客様の状況が担当者間で共有されておらず、都度都度確認するといったことが起きていました。

そこで、私たちはSaaSの力を借りて、こうした課題を解決することにしました。まず、「TCP」というSaaSを内製し、各担当者がすべての情報を入力することで、社内外での打ち合わせの内容を漏れなく記録。情報伝達のロスをなくしました。また、お客様の状況を把握するために、導入の1カ月後にアンケート調査を行い、スコア化したうえで反省点を皆で共有するようにしています。これらの取り組みにより、情報の散在や精度の低下を防ぐことが可能になりました。

「サポートチーム」の取り組み

サポートチームの有浦です。私たちのチームでは、カスタマーサクセスを実現するために何をやるべきかを議論し、「現状分析」「意識に落とし込む」「目的と方針を決める」というステップで取り組みを進めています。

まずは「現状分析」です。「サポートチーム」は、お客様からの多種多様なお問い合わせに対応するため、他部署と比べて業務負荷が高くなっていました。その一方で、チームのメンバーが転職組で、それぞれがさまざまな能力や経験を持っているという特徴がありました。

次の「意識に落とし込む」ですが、カスタマーサクセスの重要性はチーム全員が理解しているものの、取り組みを進めていくことで業務負荷が増加し、メンバーのモチベーションが下がったり、現場に不満がたまったりすることが想定されました。そこで、カスタマーサクセスが実現すれば、お客様からの問い合わせが削減され、業務負荷も減るという考え方を共有しました。

そして3つ目の「目的と方針を決める」ため、お客様に大規模アンケートを実施。プロセスすべてにおける満足度を細かくヒアリングし、サポートの具体的な「目的」と「方針」を決めました。目的には「迅速な情報の公開」「ヘルプセンター記事のメンテナンス」「適切で親身な問い合わせ対応」の3つを、方針には「全員が関わる」「道に迷ったときはアンケート(お客様の声)に戻る」「運用変更は人的負荷はかけずにシンプル」を設定。それぞれSaaSを活用して実現していくことを目指しました。

「迅速な情報の公開」については「障害情報」と「解約気配情報など」の共有に取り組みました。また「障害情報」については、これまでGoogle SiteやZendeskのヘルプサイトで障害記事を公開していましたが、プッシュ通知ができないため、Marketoなどを介して手作業でお客様に通知していました。これをStatusPageというSaaSを利用し、Slackでコマンドを打てばStatusPageのステータスが変わり、お客様にプッシュ通知が届くようにしました。

そしてお客様に解約の気配があるといった情報の共有については、ZendeskとSalesforceとを同期させることで、お客様からの問い合わせと、それに対するサポート担当者からの回答を、営業担当者がSalesforce上から確認できるようにしています。

「ヘルプセンターのメンテナンス」については次の2点です。一つは、お客様の検索をトリガーに月次でメンテナンスするようにしました。Zendesk(一部はGoogle Analytics)で、お客様がヘルプセンターで検索したキーワードを収集し、そのキーワードがヒットしなかったり、ヒットした項目をクリックしてもらえなかったりした場合は、既存の記事への紐付けや、新規記事の作成を行うことにしました。もう一つは、お客様の問い合わせをトリガーにした記事のメンテナンスです。こちらはZendeskのアドオン機能であるKnowledge Captureを使っています。ヘルプセンターに記事があるにもかかわらず、お客様から問い合わせがあった際には、記事の修正が必要なことをチーム全員で共有するようにしました。

「親切で親身な問い合わせ対応」については、お問い合わせを行ったお客様に対してアンケートを実施。「不満足」という回答が返ってきた場合には、何が不満につながったのかチームでディスカッションすることで改善を図っています。

「利用促進チーム」の取り組み

利用促進チームの澤です。私たちは、既にHENNGE Oneを運用しているお客様を支援しています。

お客様に対する支援というと、導入や問い合わせへのサポートなどを想像されるかと思いますが、私たちはそうした対応を「受動的な支援」と呼んでいます。これとは別に、お客様の解約を事前に阻止するための「能動的な支援」に取り組んでいます。

とはいえ、多くのお客様がいらっしゃる中、すべてのお客様と1対1のコミュニケーションを行うのは困難です。そこで、限られたリソースで最大の効果を発揮するために、SaaSを活用してより多くのお客様へ「能動的な支援」をお届けしていく取り組みを行っています。

私たちがまず考えたのは、支援が不十分なのは「私たちがお客様の状況を十分に知っていないのではないか」ということです。そこで「社内に反発があり導入が進まない」「最適な運用方法がわからない」と悩まれているお客様に対し、「利用促進セミナー」を開催。他のお客様がそうした悩みをどうやってい解決しているのかをご紹介したり、他社とのグループディスカッションを行ったりすることで、新しい気づきを提供することにしました。

さらに、HENNGE Oneに新しい機能が実装されたり、大規模な仕様変更があったりしたとき、メールで一斉にご案内をさせていただいているのですが、お客様がそうした情報を見逃してしまうことがありました。そこでMarketoを活用し、メールが開封されていなかったり、メール内のリンクにアクセスされていなかったりした場合は、こちらからフォローするようにしました。

また、先ほど「導入チーム」からも紹介がありましたが、お客様の利用状況や訪問の日時などを、Slackと内製のSaaSである「TCP」を連携させることで他チームと情報共有しています。

HENNGEにとってのカスタマーサクセスの定義は、「利用促進」「導入効果」「自立」「ロイヤルティ」の4つです。つまり、お客様の利用を促進し、導入の効果を感じてもらい、自立して活用いただき、他のお客様へHENNGE Oneを推奨してもらえるような支援をしていくということです。この4つの柱により、カスタマーサクセスを実現できると考えています。

冒頭で渋江が述べたように、SaaSは切り売りのビジネスではありません。導入後のお客様との関係がとても大切なビジネスモデルです。これは結婚に置き換えるとわかりやすいと思います。結婚はゴールではなく、スタートです。結婚後もいい関係を作っていくためには、相手のことを知り、いい体験を提供し続けていかねばなりません。私たちも、お客様とのいい関係を続けていくため努力を続けていくつもりですので、今後ともよろしくお願いいたします。

※HENNGEでは一緒に、変化する・チャレンジする、メンバーを募集しています。募集中の職種に関してはこちらを参照ください。