社内の誰でも参加することのできる新事業のピッチイベント、 『インスパイア祭り』(IM)。 優れた企画は本格的に事業化フェーズに進みます。 物づくりのパッションを持ったメンバーが集い、 ボトムアップでサービスをローンチすることを目指すイベントで誕生した、 コミュニケーションツール 『Tekumi』。 そのプロジェクトメンバーに Tekumi のアイディア発祥からサービスの社内ローンチまでの挑戦話を伺いました。
困りごとがある社員がその分野の知識を持った社員を簡単にみつけることができ、 感謝をポイントで送ることができるサービスです。
アイディアはどこから生まれたのですか?
私の独自のアイディアです。 インスパイア祭りの前から考えていたものでした。
きっかけは何だったのですか?
私は翻訳を社内の人に依頼することが多く、 その手順の非効率性にフラストレーションを感じていました。 翻訳や文章構成のスキルを持っている人を簡単に探せるツールがあればいいのに! と感じていました。 タイミングよくインスパイア祭りが行われるアナウンスをみて、 元々のアイディアのスコープを広げて、 ツールを作ってみようと思ったわけです。
なるほど。 事業化するとなると、 開発者であるJonasさんの他に営業メンバーなどが必要だったと思うのですが、 プロジェクトメンバーをどう集めたのかを教えてください。
IM運営者のSaiさんが営業メンバー探しを手伝ってくれました。
私の方でセールスとカスタマーサクセス部署に声をかけて人集めをしました。 そこでセールスの池本さんと大成さんにアイディアを説明したところ、 メンバーとして参加してもらえることになりました。
池本さん、 大成さん、 参加しようと思った理由は?
当時、 営業がIMにあまり参加していなかったので、 部下だった大成さんに参加しようと声をかけ、 サポートするつもりで参加しました。
Jonasさんの話を聞いて、 とてもオリジナルでユニークなアイディアだと思ったのがきっかけです。
メンバーが揃ってからインスパイア祭りで発表をするまでの道のりを教えてください。
まず考えなくてはならなかったのが、 Tekumiのようなサービスの需要と市場の大きさでした。 そこで池本さんと大成さんが、 似たサービスについて調査してくれました。
池本さんが行った市場調査とは?
弊社のお客様2社にインタビューを実施しました。 ヒアリングをした結果、 サービスのニーズはある! ということが分かったので、 それを基にJonasさんが企画書を作成しIMのピッチで発表しました。
大成さんもお客様とのヒアリングに同席したんですか?
いや、 私は同席はしていなく、 ヒアリング内容を英訳しただけです! なので特に何もしてないです(笑)。
そんなことないですよ! 大成さんはピッチ発表の前にかなり調査をしてくれて。 中でも社内調査から数多くのチャットツールのフォーキャストを調べて、 JonasさんがTekumiで作ろうとしていたチャットツールとワークフローとを連携させるところにとても役立つ情報を集めてくれました。
ナイスチームワークですね。 TekumiがIMで採択された時の感想を教えてください。
まず考えなくてはならなかったのが、 Tekumiのようなサービスの需要と市場の大きさでした。 そこで池本さんと大成さんが、 似たサービスについて調査してくれました。
正直、 採択されることは想定はしてなかったので嬉しかったです!
最高でしたよ! 信じられなくて、 池本さんと思わず叫んじゃいましたね! でも同時に、 先の不安もよぎりました。 どうやってサービスを作っていけばいいのかって。 もちろんある程度の枠組みはできていたものの、 製品をゼロから作っていく経験がなかったので。 とは言いつつ、 作っていくプロセスをみんなで話し合い始めたら不安は消えて、 あとはワクワクしかしませんでしたね!
社内でのサービスローンチのときのお話を少し聞かせてください。 社内ユーザーの初期段階での反応はどんな様子でしたか?
初期段階では、 20人ほど熱心にTekumiを利用してくれました。 言語翻訳に関する質問をしたり、 ソフトウェア、 技術、 サービスについての質問が出ていたりしましたね。
営業のメンバーが、 「ある産業エリアのデータ抽出のやり方を知りたい」 というタスクをTekumiに投稿したんですが、 その投稿をカスタマーサクセス部のメンバーがみて、 実際にそういった作業をやっているチームがカスタマーサクセス部内に存在していることが分かって助かった! というようなケースもありましたね。
課題もあったのですか?
最初の印象が大切なのに、 ローンチ後すぐに問題が見つかってしまったんです。 ユーザーもサービスの使い方や何のために使うのか、 いまいち理解できてなかったですし。 はじめに、 もっときちんとサービスの使い方をわかりやすく説明するべきでした。
最初は良かったのですが、 利用ユーザーが週ごとに 5-10% 減っていってしまったんです。 Jonasさんの言うように、 Tekumiというツールが 「どのように役立つのか」 を社内の人にもっと説明すべきだったと思います。
普段、 社内コミュニケーションで活用している 「Slackでいいじゃん」 と考える人も多かったと思います。 いま振り返ると、 リクエストを 『タスク』 と呼んでしまったことが、 ユーザーにとっては気軽に頼めるものではなく、 正式な仕事感があって、 堅苦しい感じになってしまったんじゃないかと思います。
社内アンケートの約40%の方が 「あげられるべきタスクは大量に存在し、またそのタスクとスキルのマッチングが必要」 だと回答していました。 何人かはTekumiを毎回ちゃんとチェックして、 自分がサポートできるタスクがないか確認してくれていたのですが、 多くのユーザーはSlackでタスクを完結させてしまっていました。 あとは、同時期に社内の人に感謝を伝えるSaaSが導入されるようになったことも、 Tekumiの利用率が低下した理由の一つだと思います。
良かったと思うエピソードを教えてください。
みんながプロジェクトに日々ちゃんと参加したこと自体が十分成功だったと言えるかもしれないですね。 あと、 サイトがちゃんと作られて、 問題はありながらも機能したことについても満足してます。 ある程度のアウトプットを出すことができて、 普段関わることのない部署の人たち一緒にプロジェクトに取り組めた機会も良かったと思います。
私がプロジェクトに参加したのは、 HENNGEに入社して1ヶ月以内のことで、 その1ヶ月後にはコロナで全社的にリモートワークになってしまいました。 オフィスに行けず、 行ってもほぼ誰もいない状況でした。 そんな中、 私は社内のメンバーにTekumiを使ってもらうために自分自身が積極的にサービスを使うことに努めました。 結果、 いろんな部署のメンバーと繋がることができて、 誰が会社のどんなことに詳しいかを知ることができたので、 コミュニケーションツールとしてのサービスの可能性を大いに感じました。
池本さんと大成さんが UX (ユーザー体験)をヒアリングして、 それをエンジニアのJonasさんに伝える。 という一連の流れを何度も何度も繰り返さなければならなかったので、 時間的制限があったのは事実です。 みんなそれぞれ通常の業務をしながら、 並行してプロジェクトを進めていたので。 ただそれらは、 サービスをゼロからイチにステージアップさせるためにも重要なポイントだったと思うので、 プロジェクトメンバー全員がたくさんの学びある経験ができたのではないかと思います。
結果、 サービス停止に至ったんですよね? 決断の経緯について聞かせてください。
もっとチャレンジしたかったのですが、 クライテリアとして設定していたユーザー数を満たすことができなかったこと、 今後の製品改良に要する時間とリターンを加味して継続は難しいと判断しました。
最後に、 Tekumiプロジェクトを通して得られた学びや経験を教えてください。
イチからプロジェクトを作る新しい経験ができたのが良かったと思います。 ディビジョンをまたいで、 いろんなメンバーと共通課題を話し合って考えることができたのはいい経験でした。 メンバーと毎週会って話してたからこそコミュニケーションが深まって良かったし、 違うディビジョンのメンバーと英語でサービスを考えられたのは非常に学びが多かったです。
IM運営側からの立場から話すと、 プロダクトのリスク軽減についてを深く考える必要があることを学びました。 あとは、 情報システム部門以外のビジネスユーザーを見つける難しさも感じました。
このプロジェクトを通して、 新規プロダクトをどのようにして市場にローンチさせるかを考える、とてもいい機会だったと思います。 製品のコンセプトや、 ユーザーのペルソナを考えて、 製品の価値をどうお客様に提供するかなどを模索しました。 何もないゼロの状態からサービスを作るのは、既存のサービスを売る枠組みとは全く違うやり方で進めていかなければならなかったので、 今までの自分も、また多くのセールスメンバーも経験できないことを体験することができました。 この経験は、自分のキャリアにとって非常に価値のある貴重なものだと思います。
普段一緒に働けないチームでプロジェクトに取り組めたこと。 新しいプログラミングツールを使えて学べたこと。また、 何もルールのないオープンな状態の中で新たな挑戦ができたことが、 日常業務とは違う開放的な環境での体験で良かったです。
私の学びは、 Tekumi自体はすごくいいアイディアなのに、 人の行動を変えることの難しさですね。 どんないいアイディアであったとしても、 適切な顧客が見つからなければ、 製品化への道のりを順調にスタートさせることすらできないのだと痛感しました。
みなさんのTekumiの挑戦は、 HENNGEの新事業開発のパイオニア的存在ですね! 本日はありがとうございました!
※HENNGEでは一緒に、変化する・チャレンジする、メンバーを募集しています。募集中の職種に関してはこちらを参照ください。
Tekumiは簡単にいうとどんなサービスなのですか?