株式会社OSPホールディングスは、生成AIの活用を見据えて社内データの一元管理を実現するべく、Microsoft 365を導入。さらに、これまで複数のツールで実現してきたメールセキュリティなどの機能をHENNGE OneとCustomers Mail Cloud（CMC）に統合し、セキュリティ強化と運用効率化を両立させた、新たな事業インフラを構築中です。今回は、ITソリューション戦略本部の藤原本部長、IT推進部の若尾部長、ITシステム開発部 ITシステム第1課の石暮課長のお三方に、お話を伺いました。
生成AI活用を見据え、Microsoft 365導入とツール統合を実行
— 貴社の事業概要を、ご紹介ください。
藤原氏： OSPグループは、総合パッケージメーカーとしてシール印刷、原紙製造、ラベリングシステム開発などの事業で国内外に拠点を持ち、世界各地へ製品をお届けしています。国内で流通するシール・ラベルの約3分の1を手掛けているほか、創業100周年を間近に控え、グループシナジー強化により、持続可能な社会への貢献を目指しています。
— HENNGE One導入のきっかけをお聞かせください。
藤原氏： 「生成AIの活用など、社内データをさらに有効活用するにはデータの一元管理が必要」との経営判断があり、社内ツールを見直すこととなりました。これまで当社では、メールはクラウド型メールセキュリティサービス、コミュニケーションツールはLINE WORKS、グループウェアは desknet’s NEO、そのほかにもファイル転送サービスなど、複数のツールを組み合わせて活用してきました。各ツールの機能に不満はなかったのですが、問い合わせ先が多数あり、運用は複雑でした。そこで、Microsoft 365を導入し、利用ツールの統合を図ることとなりました。そのタイミングで構築ベンダーから、Microsoft 365と連携するSSOツールおよびメールセキュリティサービスとして、HENNGE Oneの紹介を受けたのがきっかけです。
ワンパッケージでセキュリティ強化と運用効率向上が図れる点を評価
— HENNGE Oneを導入した決め手は何でしたか？
藤原氏： 実は当初、メールセキュリティについては既存のサービスを継続利用しようと考えていました。顧客ごとの細かな設定もしており、サービスを変えると多大な工数がかかります。また、セキュリティエンジンも各社で異なるため、同様の効果が得られるかという不安もありました。しかし、HENNGE Oneの機能を詳しく聞くと、当社が求めるほとんどの機能が含まれていることが分かってきました。
若尾氏： その一例が、デバイス証明書機能です。Microsoft 365の導入を機に当社のクラウド利用が加速する中、社外からのアクセスをいかにセキュアに保つかが課題でした。そこで、HENNGE Oneのデバイス証明書機能を用いれば、Microsoft 365へのアクセスを会社支給のデバイスだけに絞れると考えました。また、別のサービスで実現している社外とのセキュアなファイル共有も、HENNGE Oneの機能で実現できます。
石暮氏： さらに、当社の基幹システムであるIBM i（AS/400）からのメールを送る際、既存のSMTPリレーサービスを経由していましたが、HENNGEにはこの課題を解決するクラウド型SMTPサーバーサービスCustomers Mail Cloud（CMC）もある。加えて、既存のサービスでは1年ごとに保存コストがかかるメールアーカイブがHENNGE Oneでは10年間担保され、標的型攻撃メール訓練の機能まで提供されるのも、大きな魅力でした。
藤原氏： このように、HENNGE OneであればSSO、ファイル共有を含むメールセキュリティ、デバイス証明書によるセキュリティ強化、メールアーカイブ、標的型攻撃メール訓練など当社が求めるほとんどの機能がワンパッケージで提供されることが分かりました。さらに、クラウド型SMTPサーバーによるシステムメール送信問題も解決する。複数のバラバラなツールの契約や問い合わせが1本化できれば、運用効率は大きく向上しますし、トータルコストの削減も期待できる。そのことが、HENNGE Oneを採用した決め手となりました。
— 導入にあたり、Proプランを選定された理由は？
藤原氏： ちょうど導入のタイミングでHENNGE One Proという新たなプランが登場し、当社が求める機能がすべて含まれていたことから、同プランを選定しました。
多彩な機能でセキュリティ強化と運用効率化を実現
— Microsoft 365および、HENNGE Oneの導入はどのように進められましたか？
藤原氏： 2024年の春頃にMicrosoft 365への移行が決まり、夏頃にHENNGE Oneの契約をして、構築を進めました。2025年2月末にメール移行を行い、そのタイミングでCMCとHENNGE Oneも利用を開始しました。9月末までが旧システムとの並行運用期間で、10月1日に完全移行となります。HENNGE Oneのライセンスは、全国内拠点で約3,000 IDを利用します。
— その間のHENNGEサポートへのご評価は？
藤原氏： 管理画面も分かりやすく、マニュアルも充実しており、最初に要点をきちんと教えていただいたことで順調に進められました。一部、設定などでサポートいただきましたが、それもしっかり対応いただき満足しています。なにぶん機能が豊富なので、利活用には引き続いての支援を期待しています。
— ではここから、機能別の導入効果について、期待を含めてお聞かせください。HENNGE Access Control（認証／SSO）についてはいかがでしょうか？
藤原氏： 前述の通り、デバイス証明書による会社支給のデバイスからのみMicrosoft 365へのアクセスを可能にする端末制御を行っています。SSOは現状、Microsoft 365とのみ、連携しています。今後、クラウドサービス利用が増えた際には、HENNGE Oneを認証基盤として活用していきたいと考えています。
— HENNGE One DLP Edition（メールセキュリティ／一時保留機能など）、HENNGE SecureTransfer（大容量ファイル転送）は、いかがでしょう？
若尾氏： ファイル添付の完全自動化、脱PPAPについては顧客環境との兼ね合いなども含めて調査し、全社展開を検討中です。ただし、これまでのサービスでは大容量メール添付は非常に面倒でしたがHENNGE Oneではその作業が大きく軽減されるため、手動での利用だけでも満足度は非常に高いです。
— HENNGE Email Archive（メールアーカイブ）は、いかがでしょうか？
藤原氏： 従来のサービスは1年ごとにコストがかかっていましたが、HENNGE Oneでは10年間担保される点が、法対応の観点で大きな効果です。まだあまり利用機会は多くありませんが、検索性や操作性も従来のサービスよりも早く快適で、驚きました。
— HENNGE Cloud Protection（メール脅威対策 for Microsoft 365）、HENNGE File DLP（OneDrive／SharePointの利用状況可視化）についてはどうでしょうか？
藤原氏：これらについては、今回のMicrosoft 365の導入でサイバー攻撃への対応や、クラウド上のファイルの状態把握が必要になると予想されるため、必要に応じてこれから利用を検討します。
— HENNGE Tadrill（標的型攻撃メール訓練）はいかがでしょうか？
藤原氏：近年、お客様からのセキュリティチェックで訓練の実施有無や時期を問われることが増えており、昨年は別のサービスで実施しました。HENNGE Tadrillであれば定額制で回数や頻度を気にせず、部署ごとなど細かな単位で柔軟に訓練を行える点が魅力的です。また、豊富なテンプレートが用意されており、手軽に訓練を行える点も評価しています。年内にはHENNGE Tadrillでの実施を予定しています。
— HENNGE Customers Mail Cloud（CMC）はいかがでしょうか？
石暮氏：当社はIBMの基幹システムから取引先に対し、毎日大量の出荷明細メールを送信しています。CMCによりこれらのメールが滞りなく安定して送れることで、当グループの事業運営への貢献効果は大きなものがあります。
生成AI活用を見据え、セキュアなデータ活用基盤の構築を推進
— 今後の展望および、HENNGE One活用展開のお考えを、お聞かせください。
藤原氏：今後、Copilotなど生成AIによる社内データ活用を見据えて、SharePointポータルに社内文書を移行するといったデータ統合を進めていきたいと考えています。また、今回のMicrosoft 365の利用を皮切りに、さまざまなクラウドサービスの利活用もさらに活発化すると予想されます。そうした際、HENNGE Oneを認証基盤として活用することで、従業員の利便性を損なうことなく、セキュリティを強化できればと考えています。
— それでは最後に、HENNGEおよびHENNGE Oneに期待することをお聞かせください。
若尾氏：HENNGEの製品は、かゆいところに手が届く豊富な機能提供が強みだと思います。今後は管理コンソールも統合することで、さらに運用性を高めてくれることに期待しています。
藤原氏：HENNGEの製品には非常に満足しており、さらにシェアを伸ばし、この安定した状態を継続してほしいと期待しています。また、サービス間の連携をさらに高めていただくと共に、今後もクラウドセキュリティなども含め、導入・活用しやすいソリューションの提供に、期待しています。