連携するSaaSの数が増えてもコストを抑えた運用ができるHENNGE Oneを評価しました。
— サーラグループ及び、サーラビジネスソリューションズの事業概要について教えてください
サーラグループは47社で構成されており、社員数は約4,700名規模。全国に326の拠点があります。事業はエネルギー、生活サービス、土木、建築、設備、住宅、輸入車販売、動物用医薬販売、不動産など非常に幅広く展開しているのが特徴です。その中でサーラビジネスソリューションズは、事業セグメントを問わずサーラグループ全体の基幹システムやITインフラの運用管理を担っている組織です。
— クラウドサービスの利用状況について教えてください
サーラグループ各社はそれぞれ利用しているシステムも環境も違います。事業内容が社会インフラに近いということもあり、例えばエネルギー事業の会社では30年以上同じシステムを利用しているなど、レガシーな部分があることも否めません。そのためクラウドサービスはまだまだ会社としては浸透していない状況ですが、将来的にクラウドサービスの利用が拡大することを想定しておく必要性を感じていました。
一方で、会社の管理下にない「野良クラウド」が年々増加しているという危機感もありました。実際にインターネット通信の調査を行ったところ、グループ全体で利用されている「野良クラウド」は約1,000種類にものぼることがわかっています。もともとオンプレミス環境で利用していたグループウェアが更改時期を迎えたこともあり、サーラグループのクラウド移行の第一の矢として、クラウドサービスへのアクセス基盤を整備し、クラウドサービス利用の利便性と統制を考慮しながら、グループウェアをクラウド移行することを決定しました。
— HENNGE Oneの導入を検討した背景はなんだったのでしょうか
グループウェアのクラウド移行に際してまず検討したのが、セキュリティの基本であるID管理の問題です。オンプレミスの場合はActive Directoryで厳格にID管理をするのに、クラウドサービスではそれができない状態だというのは違和感がありました。
ひとつのクラウドサービスだけのID管理であればIDaaSは必要なかったかもしれませんが、将来的に利用が増えていくことを想定する必要がありました。後追いで導入することによる手間を減らすために、最初にIDaaSを導入することとしました。そこで候補に挙がったのがHENNGE Oneでした。
— HENNGE Oneを採用した理由を教えてください
一番の決め手は、率直に言えばコストの安さです。5製品と比較検討しましたが、連携サービス数に制限がなく、なおかつ追加費用がかからない点は大きなプラス要素でした。
サービス内容もシンプルですし、例えばアクセス制御機能と大容量ファイル転送機能だけ、といったように必要な機能をセレクトして導入できるのも、コストを抑えるという意味では有効でした。
— HENNGE Oneの利用状況について教えてください
現在利用しているのはアクセス制御、セキュアブラウザ、デバイス証明書、大容量ファイル転送の各機能です。そのほかにも「楽楽精算」や「Knowledge Suite」などをはじめ、検証中のサービスも含めると19のクラウドサービスと連携しています。クラウド利用に関する社内の規程はまだありませんが、HENNGE Oneの導入以後、何かクラウドサービスに関する要望があれば全て当社に問い合わせてもらう、という形が定着しつつあります。
それぞれのクラウドサービスは社内のみの利用を原則としていますが、社外で使いたい場合は社給端末に限りデバイス証明書を発行しています。利用は出張が多い方や、管理職の方が中心です。最近は営業の方にも端末を持たせたいという問い合わせがあるので、活用範囲が広がっていくかもしれません。
— HENNGE Oneの導入効果について教えてください
これまでオンプレミスで使っていたグループウェアを、クラウド環境でもきちんとアクセス制御をかけながら利用できているという点が一番の導入効果です。
HENNGE Oneは空気のように当たり前の存在になっていて、グループ全体が「HENNGE Oneと連携させてクラウドサービスを使えばいいんだな」という認識になっているのも嬉しく感じています。コストが安いので特に各社の利用負担は増えていないという点も非常に助かっています。
また冒頭でも述べたように、今後クラウドサービスの利用が増えてくると、社員一人ひとりがそれぞれのクラウドサービスのID・パスワードを管理しなければならない、という課題が発生します。そのような課題を見越してHENNGE Oneを導入したため、今後クラウドサービスの利用が増えるほど利便性が高まっていくものと期待しています。
— 予想外の効果などはありましたか
従業員が無償のファイル転送サービスを利用していることに対しては従来からセキュリティリスクを感じておりました。該当サービスは使わないようにと通達を出していたものの、代替案を提供できておりませんでしたが、HENNGE Oneには大容量ファイル転送機能もあると知り、そちらも導入することに決めました。導入してほどなく、無償のファイル転送サービスで情報漏えい事故が発生したため、代替案が提供できていたことに安堵したとともに、HENNGE Oneの大容量ファイル転送機能の認知度・利用頻度が一気に上がりました。
— 御社の今後の展開について考えをお聞かせください
グループが中長期の経営戦略を実現するためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必須で、概ね2025年頃までに多くの会社で基幹及びサブシステムのリプレイスが計画実行されると想定しています。当然の事ながらその過程で、変化しているお客さまの消費行動や様々な分野で起きているデジタル変革に対応するためにクラウド化が推し進められると考えています。
また、DXの推進にあたっては新たなビジネスモデルに合わせた既存の業務・システムの見直しが必要になってきますし、グループ各社の成長を邪魔しないインフラ整備やセキュリティ対策を行う必要があります。今現在は必要なくても、近い将来確実に必要だと予測できることは着実に実施していきたいと考えています。