
タカラスタンダード株式会社は1962年に世界初となるホーローキッチンを開発、高品位なホーロー技術を基軸にシステムキッチン、システムバスなどを提供、業界をリードしてきました。同社は2017年のOffice 365(現在のMicrosoft 365)の利用開始に合わせて、HENNGE One Identity EditionでのSSO(シングルサインオン)による利便性向上および、グローバルIP制御によるセキュリティ強化を実施。以降も安定した稼働を続けています。
今回は、執行役員 TDX推進本部 情報システム部長の樋爪 康久氏、TDX推進本部 情報システム部 チーフマネージャー インフラ基盤グループ長の久保 康之氏、TDX推進本部 情報システム部 リーダーの浅井 俊介氏にお話を伺いました。
TDX戦略と導入当時のセキュリティ課題
— 推進中のDX戦略についてお聞かせください。
樋爪氏: 当社は中長期戦略において収益構造改革、財務戦略、サステナビリティ戦略の3つを掲げ、2032年の長期ビジョン実現を目指しています。これらの戦略を推進する上で、全社規模でのTDX(タカラデジタルトランスフォーメーション)を重要な柱と位置付けています。TDXは人的生産性の向上、在庫・物流費の削減、営業基盤の再構築という3つの主要領域に注力し、デジタル技術を活用して業務効率化、顧客サービスの向上、そして新たな価値創造を目指しています。TDXの推進により、顧客体験価値の向上、コスト削減、サステナビリティへの貢献を同時に実現し、企業価値を高めることを目指しています。

— HENNGE One Identity Edition(以下、Identity Edition)を導入された当時の経緯を、お聞かせください。

久保氏: 2017年にOffice 365の導入が決定し、セキュリティ上の懸念となったのが、ホテルやインターネットカフェなど、管理できない領域からの接続でした。拠点内や社給のモバイル通信のみでの安全な利用を実現するためにグローバルIP制御を実行したかったのですが、当社が契約していたOffice 365のライセンスでは対応が難しいことが分かりました。そこで導入ベンダーから紹介されたのが、Identity Editionでした。
コスト効果と利便性の両立を評価し、Identity Editionを選定
— Identity Editionへのご評価と、採用の決め手を教えてください。
久保氏: 第一に、コストパフォーマンスの高さです。Office 365の上位ライセンスを契約するよりも安価であり、当初計画の予算範囲内で導入できることが、非常に助かりました。さらに、SSOが実現できることで、利用者の利便性も高まることから採用を決定しました。
— Identity Editionの利用開始にあたり、社内への展開はいかがでしたか?
久保氏: 当社ではOffice 365の利用開始から2か月ほど遅れて、Identity Editionを全社展開しました。Identity Editionの導入後はSSOでよりシームレスに利用できるようになりました。初期の展開の際は、認証画面にOffice 365と明記して、「Office 365を利用するために必要な操作である」と感じてもらうように工夫したことで、スムーズな展開ができたように思います。
安定稼働の中で、セキュリティと利便性向上を実感
— 導入から約8年が経過しましたが、現在の利用状況はいかがですか?
浅井氏: 当社の社給端末でMicrosoft 365を利用する営業職、事務職、設計技術職、そして全国に展開するショールームのアドバイザー職を含めた約5,000名の全社員が、Identity Editionを利用しています。全員が特に意識することなくセキュアなアクセスを実現しており、この間、重大な接続障害などもなく、安定して利用できています。

— 管理画面の使い心地や、当社のサポートに対する評価はいかがでしょうか?
浅井氏: 日々の運用で管理コンソールを頻繁に使用していますが、マニュアルを見なくても直感的に操作でき、非常に使いやすいインターフェースです。利用者からの問い合わせ対応時も、ログ検索や不具合の原因特定、切り分けが容易で、迅速な対応が可能です。不明点がありサポート窓口に問い合わせた際も、迅速かつ丁寧に対応していただけました。
— SSOとしての利用状況はいかがですか?
久保氏: 導入当初はOffice 365のみとの連携でしたが、その後、経費精算システムやeラーニングなどのSaaS導入時に連携を追加し、SSOで利用できるようにしています。当社が利用するeラーニングシステムは当時、Identity Editionの標準連携サービスではありませんでしたが、相談したところ迅速に対応してもらえたので、満足しています。
— 2024年4月の価格改定後も、ご利用を継続いただけた理由は?
久保氏: 他サービスへの乗り換えやMicrosoft 365のライセンスアップグレードなども含めて比較検討しましたが、Identity Editionの継続利用が最適であると判断しました。実行したい機能を包括した多機能なサービスよりも、現時点で実施すべき機能に特化した「ちょうどいい」サービスを選定することでコストダウンも図れていると感じています。
今後も、営業スタイルの変化に最適な
ゼロトラスト×IDaaSでさらなる進化を目指す
— それでは最後に、今後についてのお考えと、弊社への期待をお聞かせください。
浅井氏: 今後、DX推進の中でさまざまなSaaSの利用が拡大していくと思います。Identity Editionとの連携を迅速に進め、SSOによる利便性と安全性を両立させていきたいと考えています。連携において困ったことがあればご相談しますので、引き続きご支援ください。
樋爪氏: 住宅設備業界は、新築中心からリフォーム重視の営業スタイルへと変化しています。当社は業界でもショールームを多く展開していることが強みですが、営業スタイルの変化にITを活用しつつセキュリティをいかに確保するかが課題であり、SASEなどのゼロトラストセキュリティに向けた取り組みを進めています。
久保氏: 営業スタイルの変化に伴って外部ユーザーも含めた統合的な認証基盤を求める声も高まっており、IDaaSの観点では外部ユーザーとの連携が重要になると考えています。HENNGEにはこれからもさまざまな情報提供や、コスト効果と利便性の高いサービスの提供に期待しています。