【入門】Splunk(スプランク)とは?
何が出来るかわかりやすく解説

最新更新日: 2025/8/14

Splunkは、IT機器から生成されるログを収集、分析、可視化するための統合ログ管理ソリューションです。Splunkを使用することで、ログから有益な情報を抽出し、IT環境の健全性を維持し、セキュリティを強化できます。

この記事では、Splunkの概要と主な機能について解説します。

 目次

  1. Splunk(スプランク)とは?
    1. Splunkの概要
    2. Splunkでログ解析可能な対象は?
    3. Splunkの機能
  2. Splunkで出来ること
    1. ITインフラの運用管理
    2. セキュリティの確保・高度な脅威検出
    3. コンプライアンスの維持
    4. 経営上の意思決定に必要な情報の取得
    5. データの検索・分析
  3. Splunkの製品群
    1. プラットフォーム
    2. セキュリティ
    3. 運用・監視
  4. まとめ

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Splunk(スプランク)とは?

Splunkはデータ収集、検索、分析、可視化に特化したソフトウェアです。企業のITインフラやビジネスに使用するデータをリアルタイムで監視し、分析・可視化することで、組織の意思決定を支援しています。

Splunkの概要

Splunkには以下のような特徴があります。

  • 複数システムのログデータを統合、管理
  • マシンデータの収集、分析、検索、監視を一元的に対応
  • 導入が容易かつ低コスト・低リスク

Splunkは、さまざまなソースからのビッグデータを処理し、それを分析するための強力なツールです。

  • 監視業務の運用を平準化したい
  • セキュリティインシデント対応を迅速化したい
  • 社内のコンプライアンスを強化したい
  • データを活用した顧客分析で、新たなビジネスに役立てたい

など、多種多様なニーズに応える機能を備えています。

Splunkでログ解析可能な対象は?

Splunkは、オンプレミス、ハイブリッド、マルチクラウドを含むすべての環境で利用可能です。

  • AWS
  • Azure
  • Google Cloud
  • SAP

上記のクラウドサービスだけでなく、オンプレミス環境のハードウェアでも利用可能です。
また、サーバーログ、アプリケーションログ、データベースログなど、幅広い種類のログファイルの解析に対応しています。

Splunkの機能

Splunkは、大きく分けて4つの機能を提供しています。

  1. データを収集
  2. データの検索・分析
  3. データの可視化
  4. アラート

それぞれの機能について詳しく解説します。

データを収集

Splunkの最も基本的な機能はデータ収集です。サーバーログやファイアウォール認証ログなど多様なデータソースからの収集に対応しています。

また、ログファイルのディレクトリ監視やHTTPイベントの利用など、さまざまな方法でデータの取り込みが可能です。収集したデータは、インデックス化して一元管理されます。

データの検索・分析

Splunk社が提供するSPL (Search Processing Language)というサーチコマンドがあります。このサーチコマンドを利用することで、欲しいデータを検索し活用可能です。

特定のクエリや検索条件を用いてデータを検索し、必要な情報を抽出できます。この機能は、トレンドの特定、問題の診断、そしてパフォーマンスの監視に特に有効です。Splunk内で、AI(機械学習)を使用してデータの傾向・パターンの分析もできます。

データの可視化

Splunkには、ダッシュボード、グラフ、チャート形式で収集したデータを可視化する機能があります。

収集したデータを視覚化することで、障害の傾向や予兆を迅速に特定するのに役立ち、より効率的な意思決定をサポートします。

また、ダッシュボード機能により、複数の情報源からのデータを一元的に表示し、関連性を明確に把握することが可能になります。これらの可視化ツールは、組織内のデータ運用を改善する上で不可欠な要素です。

アラート

Splunkのアラート機能により、特定の条件が満たされた場合に通知を受け取ることができます。

アプリケーションやシステムに異常が発生した場合や、ある境界値を超えたときにアラートを発することで、事故の早期解決・事故を未然に防ぐ効果があります。通知方式は、メール、SNSなど複数用意されています。

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Splunkで出来ること

Splunkは、データを収集、分析し、ビジネス上の意思決定を支援する強力なツールです。ここでは、Splunkの主要な機能について解説します。

ITインフラの運用管理

SplunkはITインフラの運用管理を大幅に改善します。システムログやトランザクションデータなどの大量のデータをリアルタイムで収集・分析し、システムのパフォーマンスや障害を迅速に特定できます。これにより、ダウンタイムの削減や効率的なリソース管理が可能になります。

セキュリティの確保・高度な脅威検出

Splunkはセキュリティ監視の強化も図れます。異常行動の検出、リアルタイムの脅威分析、セキュリティアラートの生成など、組織をサイバー攻撃から保護するための機能が豊富に備わっています。これにより、セキュリティのリスクを低減し、高度な脅威検出が可能になります。

コンプライアンスの維持

Splunkは、コンプライアンスの維持をするためにも利用されています。

Splunkを使用することで、組織は法規制や業界基準に準拠した運営ができます。監査トレースの作成、コンプライアンスレポートの自動生成などを通じて、コンプライアンスの維持が容易になります。

経営上の意思決定に必要な情報の取得

Splunkは、ビジネスインテリジェンスとしても役立ちます。市場の動向、顧客行動、ビジネスプロセスなどのデータを分析し、経営上の重要な意思決定に役立てることができます。

データの可視化や分析には、多くの時間がかかりますが、この作業をSplunkに任せることで、本来行うべき業務に集中することができるでしょう。

データの検索・分析

Splunkの核となるのはデータの検索・分析機能です。大量のデータから必要な情報を迅速に抽出し、可視化することで、ビジネス上の問題解決やプロセスの最適化が行えます。インタラクティブなダッシュボードやレポートにより、データドリブンな意思決定が支援されます。

Splunkの製品群

Splunkは、現在14のサービスを提供しており、大きく分けると下記3項目に分けられます。

  1. プラットフォーム
  2. セキュリティ
  3. 運用・監視

いずれも、ビジネスを行う上でかかせないサービスとなります。各サービスを項目ごとに1つずつ解説します。

プラットフォーム

まずは、Splunkのプラットフォームサービスについて解説します。プラットフォームの特徴は、拡張性に優れている点です。主に、クラウド移行案件やアプリケーション・システムの最適化案件で利用されています。

プラットフォームには、クラウド上で利用可能な「Splunk Cloud Platform」とオンプレミス環境でも利用可能な「Splunk Enterprise」の2つのサービスが用意されています。それぞれの特徴を解説します。

Splunk Cloud Platform

Splunk Cloud Platformとは、Splunkのクラウドベースのプラットフォームです。オンプレミスのサーバーやハードウェアを必要とせずに、すべてクラウド上でダッシュボードの作成やログの解析ができます。

申し込みから最短2日で、Splunkの機能を利用できます。1日あたり5GBのデータを分析・可視化できる無料トライアルも用意されているため、まずはトライアルから利用することをおすすめします。

Splunk Enterprise

Splunk Enterpriseは、オンプレミスで利用できるSplunkのプラットフォームです。

クラウドのみでSplunkを利用する場合は、Splunk Cloud Platformで問題ありません。しかし、企業が独自で所有するハードウェアなどオンプレミス環境でSplunkを利用する場合は、Splunk Enterpriseの契約が必要です。

Splunk Cloud Platformよりも柔軟なカスタマイズが可能ですが、導入や運用のコストや手間がかかります。

Splunk Enterpriseは、クレジットカード登録なしで利用できる60日間の無料トライアルが用意されているため、導入を検討中の企業はトライアルをご活用ください。

セキュリティ

Splunkセキュリティは、セキュリティに関する調査とセキュリティ対策を自動化することで、セキュリティの運用を最新化し企業が保有するデータを保護するサービスです。

Splunkセキュリティでは、用途に合わせて6つのサービスが用意されています。この6つのサービスについて1つずつ詳しく解説します。

Splunk Enterprise Security

Splunk Enterprise Securityは、Splunkのセキュリティプラットフォームの核となるサービスです。IT環境から生成される膨大なログデータを収集、分析、可視化することで、脅威を検知、調査、対応するためのインサイトを提供します。

主な機能は、以下の3つです。

  • ログデータの収集、分析、可視化
  • 脅威検知のためのルールベースの分析、機械学習による分析
  • 脅威の調査のためのインシデント管理

これらの機能で、あらゆる規模のシステムでのセキュリティ対策を可能にします。

Splunk SOAR

Splunk SOARは、セキュリティオペレーションセンター(SOC)の自動化と運用を行うためのサービスです。毎日手作業で大量のアラームを確認することは、担当者にとって大きな負担となります。確認作業などの繰り返し作業を自動化することで、業務効率向上につながります。

Splunk SOARはSplunk Enterprise Securityと連携して、脅威検知から対応までのワークフローを自動化することで、SOCの効率化と生産性の向上を実現します。

Splunk Security Essentials

Splunk Security Essentialsは、Splunk Cloud PlatformやSplunk Enterpriseを拡張し、セキュリティの状況を可視化、脅威の検出を強化するためのサービスです。Splunk Enterpriseから無料で利用可能です。

Splunk Enterprise Securityの機能をベースに、脅威検知、インシデント管理、セキュリティオペレーションの効率化を支援します。

Splunk Mission Control

Splunk Mission Controlは、複数のSplunk環境を統合管理するための製品です。

Splunk Enterprise Security、Splunk SOAR、Splunk Security EssentialsなどのSplunk製品を統合的に管理することで、セキュリティ運用の効率化と可視化を実現します。

Splunk User Behavior Analytics

Splunk User Behavior Analyticsは、ユーザーの行動を分析して、異常や不審な活動を検知するサービスです。

ユーザーのログデータやデバイスのデータを分析することで、内部脅威の検知や、マルウェア感染などの異常な挙動の検知を支援します。

Splunk Attack Analyzer

Splunk Attack Analyzerは、Splunk Enterprise Securityを拡張するサービスです。

AIと機械学習を使用して、従来のセキュリティツールでは検出できない未知の脅威を検出します。複雑な認証情報フィッシングやマルウェア脅威を自動で検出して分析します。

運用・監視

Splunkは、IT環境の運用・監視を効率化するためのサービスも提供しています。運用・監視に特化したサービスとして、6つのサービスがありますので1つずつ解説します。

Splunk Application Performance Monitoring(APM)

SplunkのAPMサービスは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、アプリケーションの異常発生時に問題を迅速に特定して解決するためのサービスです。

従来は、大規模なシステムでエラーが起きた場合、原因追及に多くの時間がかかっていました。しかしAPMサービスは、システムを動かすアプリケーションを細かく1つずつ監視するためトラブル発生時の対応スピードが向上します。

Splunk Infrastructure Monitoring

Splunkのサービスの中でも、ITインフラのモニタリングに特化したサービスです。

サーバー、ネットワーク、ストレージなどの監視、リアルタイムのアラート、パフォーマンスの履歴分析などの機能が利用可能です。
これらの機能で、ITインフラのパフォーマンスを監視し、障害を未然に防ぎ、システムの可用性向上が期待できます。

Splunk IT Service Intelligence

Splunk IT Service Intelligenceは、ITサービス全体の監視をしてパフォーマンス維持を行うサービスです。

ITサービスの可用性とパフォーマンスの監視、ビジネス影響分析、サービスレベル契約(SLA)の管理用途で利用します。

問題発生時でも、サービスの継続ができるように、自動でインシデントの優先順位をつけたり、インシデントの予測をしたりすることで、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

Splunk Real User Monitoring(RUM)

SplunkのRUMサービスは、エンドユーザーの視点からアプリケーションのパフォーマンスを監視し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためのサービスです。

ページの読み込み時間、クリック数、エラー率、ユーザーセッションなどを常に監視しています。RUM導入によって、サービス利用者の満足度向上を評価する基準が分かるようになるでしょう。

Splunk On-Call

Splunk On-Callは、インシデント対応を自動化し、迅速かつ効率的なインシデント解決を実現するためのインシデント管理サービスです。

ビジネスにおいて「On-Call」とは、従業員の勤務時間外でも緊急の異常が発生しても、異常の対応ができるような仕組みを作っておくことを指します。

このサービスを導入することで、問題をすばやく修復し、オンコールの負担を軽減して、サービスのダウンタイムを最小限に抑えることができるでしょう。

Splunk Synthetic Monitoring

Splunkが提供するユーザーの操作を模倣して、アプリケーションやサービスのパフォーマンスを監視するサービスです。
スクリプトによるシミュレーション、パフォーマンスの問題の検知、エラーの特定といった機能が備わっています。

このサービスを導入することで、アプリケーションやサービスのパフォーマンスを継続的に監視し、問題を早期に発見できます。

まとめ

Splunkは、クラウドやオンプレ環境で利用可能で、主にデータの収集・分析・可視化・アラートの機能を提供しています。データを活用するすべての企業が導入を検討するべきといえるサービスです。

Splunk Cloud Platformは、クラウド上でSplunkを利用できるサービスです。導入スピードが早くコストも抑えられ、どこでも利用可能になるなど多くのメリットがあります。

Splunkを利用したいけど、クラウド上にデータをあげることに不安があるという企業は、SplunkのサービスとHENNGE株式会社が提供する「HENNGE One」を並行して導入することをおすすめします。

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