相次ぐ不正アクセスの対策として
企業が今すぐ取り組むべき6つの手法と事例紹介
VPN代替・なりすましメール対策・脆弱性診断など

公開日: 2026/10/27

連日報じられる「不正アクセス」。同じ言葉でも、事例を見ていくと侵入経路や原因はさまざまです。その多くは、自社の対策次第でリスクを抑えられる領域です。VPN代替やなりすましメール防止、脆弱性診断など、企業が今すぐ取り組むべき6つの対策手法を解説します。

この記事のポイント

  • 2026年9月以降、国内では企業・組織の不正アクセス公表が連日のように続いている。
  • 「不正アクセス」と一言で報じられていても、原因は①VPN機器の脆弱性、②メールアカウントの乗っ取り、③クラウドサービスの不正利用、④Webアプリ・サイトの脆弱性、⑤委託先経由の漏えい(漏洩)、⑥マルウェア感染・ランサムウェア、⑦自社ドメインのなりすましメール送信など、多岐にわたる。
  • 加えて、独自に収集・分類した集計によると約4割弱は本記事執筆時点でも原因が未公表・調査中であり、「原因不明」自体が最も警戒すべき実態でもある。
  • ①〜⑦のうち5つ(VPN機器、自社メールアカウント、自社Webサービス、自社端末、自社ドメイン)は、自社で対策が可能。
  • クラウド事業者側や委託先が起点となる漏えいは、自社だけでは防ぎきれない領域。
  • HENNGE Oneは、ID管理・端末保護・なりすましメール対策・標的型攻撃訓練などを組み合わせ、自社で防御可能な領域に幅広く対応するサイバーセキュリティサービス。

 目次

  1. 2026年9月・10月に相次いでいる「不正アクセス」の内容
  2. なぜ手口がこれほど多様化しているのか
  3. この中で、自社での対策で防ぎやすい領域とそうでない領域
  4. 不正アクセスが疑われた場合の対処法
  5. よくある質問(FAQ)
  6. まとめ

2026年9月・10月に相次いでいる「不正アクセス」の内容

2026年9月以降、国内では企業・組織による不正アクセスの公表が連日のように続いています。「不正アクセス」という同じ言葉で報じられていても、侵入経路や原因を見ていくと内容はまったく異なります。確認できた主な事案を分類すると、以下の7つの傾向と、原因調査中・未公表の事案に分かれます。

分類概要件数(9月確認分)
①VPN機器の脆弱性・VPNアカウントの悪用VPN機器の脆弱性を突かれ、内部情報の漏えい可能性が生じる1社
②メールアカウントの乗っ取りフィッシング等でメールアカウントが乗っ取られ、迷惑メール送信や金銭被害に発展3社
③クラウドサービス・認証情報の不正利用契約先のクラウドサービスが第三者に不正利用される1社
④Webアプリ・サイトの脆弱性を悪用した侵入・改ざん自社Webサイト・サービスの脆弱性を突かれ、改ざんや不正アクセスが発生7社
⑤委託先・取引先経由の漏えい業務委託先・連携先システムが起点となり、自社の情報が漏えい5社
⑥マルウェア感染・ランサムウェア端末単位の感染(経路特定可能なもの)とシステム全体を狙うランサムウェア(経路不明なもの)の両方を含む4社
⑦自社ドメインを悪用したなりすましメール送信自社ドメイン・認証キーが悪用され、取引先等へなりすましメールが送信される2社
原因不明・調査中9月に発表された被害事例のうち約4割弱が、本記事執筆時点でも原因未公表・調査中15社以上

※主に2026年9月に公表された各種報道・発表情報をもとに集計。集計日:2026年10月8日時点。10月分は本記事執筆時点で9月と同精度の網羅的集計が存在しないため、速報的な傾向を除き9月の集計を中心に構成しています。
※9月の確認事例を主要因で分類しているため、合計件数は厳密には一致しません。
※7つの傾向は、IPA(情報処理推進機構)が発表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」解説書[組織編]」で挙げられているランサム攻撃、サプライチェーン・委託先を狙った攻撃、脆弱性の悪用、ビジネスメール詐欺といった脅威とも重なるものであり、特定のベンダーの製品領域に合わせて作成した分類ではありません。

重要なのは、「原因不明・調査中」が多数の割合を占めているという事実です。原因が特定できなければ根本的な対策を打つことはできません。原因特定までの間、企業は手探りの状態で被害対応に追われることになります。

なぜ手口がこれほど多様化しているのか

攻撃者側の視点に立つと、狙われるのは基本的に「防御が手薄なところ」です。ただし今回の特徴は、自動スキャンやAIの悪用によって、その「手薄なところ」を見つけるスピードと範囲が格段に広がっている点にあります。VPN機器のパッチ適用が遅れている企業もあれば、従業員がフィッシングメールのリンクを開いてしまう企業もあり、委託先のセキュリティレベルが自社より低いケースもあります。攻撃者はAIを悪用した自動スキャンなどで、こうした弱点を広範囲かつ効率的に探し出し、最も突破しやすい入口から侵入します。結果として手口は分散し、「VPNだけ対策すれば安心」「メールだけ気をつければ安心」という単純な話にはならないのです。

この中で、自社による対策で防ぎやすい領域とそうでない領域

上記7分類+原因不明の事案を、「自社で対策できるかどうか」という軸で整理すると、2つのグループに分けられます。

グループA:自社による対策で防ぎやすい領域グループB:自社による対策が難しい領域
①VPN機器の脆弱性・悪用
②自社メールアカウントの乗っ取り
④自社Webサービスの脆弱性
⑥-A マルウェア感染・ランサムウェアのうち、端末起因で感染経路が特定できるマルウェア感染
⑦自社ドメインのなりすましメール送信
③クラウド事業者側で発生する不正利用
⑤委託先・取引先のシステムが起点となる漏えい
⑥-B マルウェア感染・ランサムウェアのうち、侵入経路が不明なまま被害が発覚するシステム全体型ランサムウェア
原因不明・調査中の事案全体
これらはすべて、自社が契約・運用・管理している資産(VPN機器、メールシステム、Webサーバー、社員の端末、自社ドメイン)が起点です。つまり、パッチ適用、認証強化、監視体制、従業員教育といった自社の意思決定と予算配分によって、対策水準を上げられる領域です。情報セキュリティ担当者としては、「対策してもどうせ防げない」ではなく、「対策次第でリスクの大きさが変わる」領域であることが重要なポイントです。こちらは、防ぎにくい理由がそれぞれ異なります。③・⑤は、相手先(クラウド事業者・委託先)の管理体制に依存するため、自社の投資だけでは完全に防げません。委託先選定時のセキュリティ審査や契約条項の整備、定期的な監査などでできることはありますが、根本的な防御は相手側の対策水準に左右されます。一方、⑥-B・原因不明の事案は、そもそも侵入経路自体が特定されていないため、「どこを対策すればよいか」が明確になっていないことが防ぎにくさの要因です。こうした事案では、侵入そのものを防ぐことだけでなく、検知・対応体制を整えておくことが被害を抑える鍵になります。

2026年9月・10月に相次いだ不正アクセスのうち、グループAは自社の対策投資で防御・被害軽減が可能な領域になります。「対策してもどうせ防げない」と諦めるのではなく、「どこまでが自社でコントロールできる範囲か」を正確に把握することが、情報セキュリティ担当者にとって最初の一歩になります。

ここでは一例として、セキュリティサービスを紹介します。HENNGE Oneというセキュリティサービスは、ID管理・端末保護・なりすましメール対策・標的型攻撃メール訓練など複数の機能を組み合わせることで、グループAの5つの領域に幅広く対応できるよう設計されています。具体的にどの機能がどの課題に対応するのか、以下の表で整理します。

企業が抱える課題HENNGE Oneの解決ソリューション主な効果・防御の仕組み
1メールアカウントの乗っ取り(不正ログイン)HENNGE Access ControlMFA・デバイス証明書・IP制限により、認証情報窃取時の不正ログインリスクを低減
2乗っ取りの起点となるフィッシング詐欺HENNGE Tadrill標的型攻撃メール訓練とワンクリック報告機能で、不審メールの早期検知と防御力向上
3パスワードの漏えい・使い回しHENNGE Password ManagerSSO非対応のSaaS・社内システムも含め、安全なパスワード管理で使い回しによる不正ログインを防止
4自社ドメインの悪用・なりすましメール送信HENNGE Domain ProtectionDMARC設定の可視化・最適化支援で、自社ドメインを悪用したなりすましメールを抑制
5VPN機器の脆弱性・VPNアカウントの悪用HENNGE Mesh Network既存VPN機器を稼働させながら段階的にZTNA環境へ移行でき、環境に応じて無理なく侵入経路を縮小 *1
6Webアプリ・サイトの脆弱性、端末単位のマルウェア感染HENNGE Endpoint & Managed SecurityEPP/EDRによる端末保護+24時間365日のMDR監視。あわせてWebサーバー等のASM・脆弱性診断も提供 *2

※各ソリューションをご利用いただけるプラン・環境については、HENNGEの製品サイト(https://hennge.com/jp/service/one/)をご確認ください。
※1 移行の進め方やスピードは、既存のVPN機器の構成や社内ネットワーク環境によって異なります。
※2 システム全体を狙う侵入経路不明のランサムウェアは対象外

一方で、グループB(クラウド事業者側・委託先起点・原因不明の事案)は、自社のセキュリティ製品だけでは防ぎきれない領域であることも、認識しておかなければなりません。委託先管理やクラウド事業者とのSLA確認など、別のアプローチが必要です。

不正アクセスが疑われた場合の対処法

1初動対応被害範囲を特定し、該当システムをネットワークから切り離す(LANケーブルを抜く・Wi-Fiを切るなど)。ただし、感染端末の電源は切らない(メモリ上の証拠が消失し、原因調査が難しくなるため)。
2関係者への連絡経営層・情報システム部門・必要に応じて監督官庁や取引先へ連絡。
3証拠の保全ログなどの証拠を保全し、原因調査に備える。メールアカウントが乗っ取られた場合、送受信ログ自体が改ざん・削除されるケースもあるため、HENNGE Email Archiveのようなソリューションを活用し送受信ログを別途アーカイブしておくと、事後調査がスムーズになる。
4原因調査と公表判断フォレンジック調査(専門機関による原因や被害状況の解析)を行い、被害範囲が確定した時点で必要な公表・通知を行う。
5再発防止策の実施原因に応じた対策(VPN機器の更新、MFA導入、ドメイン認証の強化など)を講じる。

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よくある質問(FAQ)

「不正アクセス」のニュースが多いのはなぜですか?

断定はできませんが、大きく3つの背景が指摘されています。

1つは、インターネットに公開された機器やサービスの脆弱性を自動的に探索する手口が一般化していることです。

2つ目はAIの悪用です。「AIが自律的に企業を攻撃している」というよりも、攻撃者がAIを使って脆弱性の探索や攻撃コードの生成を効率化している事例が、Google・Microsoft・Anthropicなどから2026年に相次いで報告されています。これにより、従来は発見に時間がかかっていた脆弱性が、より早く・より広範囲に見つかるようになっていると指摘されています。

3つ目は、個人情報保護法に基づく公表意識の高まりにより、以前は公表されなかったような事案も公表されるようになっている可能性です。

いずれも調査機関・報道から指摘されている背景であり、今回の国内の件数増加の確かな原因は明らかになっていません。

VPNを使っていれば安全ですか?

VPN機器自体の脆弱性が攻撃対象になるケースが増えており、VPNの導入だけでは十分とは言えません。

2023年のITR調査によれば、ZTNAへの移行を検討する企業が増加傾向にありました*。

* 参照元:ITRがZTNA市場規模推移および予測を発表(ITR)

中小企業でもできる対策はありますか?

MFA(多要素認証)の導入、従業員向けのフィッシング・標的型攻撃メール訓練、パスワード管理の仕組み化など、比較的低コストで始められる対策から優先順位をつけるのが現実的です。

委託先経由の漏えいは自社では防げないのですか?

完全には防げませんが、委託先選定時のセキュリティ審査、契約書への情報管理条項の明記、定期的な監査などでリスクは低減できます。
企業のセキュリティ対策への対応状況を客観的に可視化するための制度、SCS評価制度についてはこちらで解説しています。

まとめ

2026年9月・10月に相次いだ不正アクセスは、VPN機器の脆弱性、メールアカウントの乗っ取り、なりすましメール送信、端末のマルウェア感染など、入り口も手口もさまざまでした。しかし、原因が判明している事案に限ると、自社の対策投資によって防御・被害軽減が可能な領域だったことも、今回の分析で見えてきました。

自社がどこまで対策できているかを自ら正確に把握しておくことが、被害を未然に防ぐ、あるいは最小限に抑えるための前提になります。

HENNGE Oneは、ID管理・端末保護(端末起因のマルウェア・ランサムウェア感染対策)・VPN機器などの脆弱性診断・なりすましメール対策・標的型攻撃メール訓練といった複数の機能を組み合わせ、今回取り上げたような幅広い不正アクセスの手口に対応できるクラウドセキュリティサービスです。「自社がどこまで対策できているか分からない」「対策の優先順位をつけたい」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。